海難審判法(かいなんしんぱんほう)

職務上の故意または過失によって海難を発生させた海技士等に対する懲戒を行うため、国土交通省に設置する海難審判所における審判の手続等を定め、もって海難の発生の防止に寄与することを目的とする法律。従来は海難審判庁が、海難の原因究明と懲戒手続きを一体的に行ってきたが、懲戒から分離した再発防止のための「原因究明型」調査とすべきとの国際的潮流を踏まえ、2008年の通常国会で成立した国土交通省設置法等の一部を改正する法律により改組が行われ、原因究明は運輸安全委員会が、懲戒は海難審判所が行う体制が同年10月1日から発足したものである。


「海難」の定義:
① 船舶の運用に関連した船舶または船舶以外の施設の損傷
② 船舶の構造、設備または運用に関連した人の死傷
③ 船舶の安全または運航の阻害

海難審判所:
海難審判所は、東京に置かれて重大な海難の審判を扱い、地方海難審判所は、函館、仙台、横浜、神戸、広島、北九州(門司区)、長崎等に置かれ、管轄区域において発生した海難(重大なもの以外)の審判を扱う。結審後、海難の事実及び受審人の故意または過失の内容を明らかにした裁決並びに受審人への懲戒が言渡される。裁決で懲戒処分を受け、その処分に不服のある場合は、裁決言渡しの翌日から30日以内に東京高等裁判所に裁決取消しの訴えをすることができる。

懲戒:
次の3種があり、適用は行為の軽重に従って定められる。
① 免許の取消し
② 業務の停止(停止の期間は1カ月以上3年以下)
③ 戒告