水先法(みずさきほう)

水先(注1参照)をすることができる者の資格を定め、その養成及び確保のための措置を講ずるとともに、水先業務の適正かつ円滑な遂行を確保することにより、船舶交通の安全を図り、船舶の運航能率の増進に資することを目的とする法律であり、主な内容としては、水先人の免許、水先人試験、登録水先人養成施設、水先及び水先区等が規定されている。2007年には、水先人の将来にわたる安定的な確保、若年層への門戸拡大を目指して改正水先法が施行され、等級別免許制(船長経験を必要としない二級・三級水先人免許)、水先人の安全レベル確保のための養成教育制度等が導入されている。

注1 水先:
水先とは、水先区(船舶交通が輻輳する水域等、交通の難所(注2参照))において水先人(注3参照)が乗り込み、船舶を安全かつ速やかに導くものであり、船舶交通の安全確保のみならず海洋汚染の防止、港湾機能の維持向上等を図る上でも重要な制度として、世界各国でも実施されている。

注2 水先区:
船舶交通が輻輳する水域等、交通の難所をいい、水先区の名称及び区域は政令(水先法施行令)で定められる。2019年8月現在、日本では全国で35の水先区が設定されており、特に厳しい船舶交通の難所とされる10の水域(強制水先)では、当該水域を航行する一定の船舶(※)に対し水先人の乗船が義務づけられている。
[強制水先の港及び水域]横浜川崎区、横須賀区、東京湾区、伊勢三河湾区、大阪湾区、備讃瀬戸区、来島区、関門区、佐世保区、那覇区
(※ 義務付けの対象となる船舶は、港・水域に応じ総トン数等で規定されている。)

注3 水先人(パイロット):
水先人は水先区で船舶に乗り込み、船舶を安全かつ速やかに導く役割を担う。水先法第2条第2項において、「「水先人」とは、一定の水先区について水先人の免許を受けた者をいう。」と定義されている。水先人の免許は国土交通大臣によって水先区ごとに、一級水先人、二級水先人及び三級水先人の資格別で与えられるものであり、免許が与えられると、水先人名簿に登録されて水先免状が交付される。